日本森林学会誌
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短報
韓国における潜在感染木に対する取り組み
趙 庸祺鄭 圭元
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2019 年 101 巻 1 号 p. 26-29

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抄録

韓国におけるマツ材線虫病の被害は約30年前の1988年に始まったが,2000年頃まではそれほど問題にならなかった。その後,被害量が増加したが,2005年に防除特別法に基づく強力な防除推進などの積極的な対応で抑制に成功したかにみえた。しかし,被害は2012年頃から再び全国に拡大し,2014年には被害本数が218万本に達した。このような被害再燃の原因は防除体制の変更,中でも潜在感染木の存在を想定した防除手法である皆伐防除が実施されなくなったことにあると考えられる。最近になって,韓国山林庁の防除指針に潜在感染木の概念が正式に導入され,被害木の周囲のマツに対して,1)樹脂滲出調査で確認された衰弱木の選別伐採,2)一定範囲のマツの皆伐,のいずれかの方法が採用できるようになった。本稿では,韓国におけるマツ材線虫病の被害状況,ならびに潜在感染木に対する取り組みの変遷過程とその効果などを紹介する。

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© 2019 一般社団法人 日本森林学会
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