日本森林学会誌
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総説
マツ材線虫病診断法の変遷
―潜在感染木への適用可能性―
竹内 祐子
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2019 年 101 巻 1 号 p. 17-25

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抄録

目の前にマツがある。立木でも丸太でもいい。果たしてこれは,マツ材線虫病キャリアだろうか。防除現場における伐倒駆除対象木の選定に際して,あるいは港・空港など梱包材を含むマツ材を輸出・輸入する水際で,マツ材線虫病診断が求められる場面は多い。マツ材線虫病をはじめとする樹木病害の症状は一般に重複していることが多く,厳密に診断を行うためには病原体の検出・同定が必要となる。本病においても,1971年に病原体がマツノザイセンチュウ(Bursaphelenchus xylophilus)という線虫であると特定されて以降,診断対象から病原体を分離し,あるいは分離せずに検出し同定するための手法が様々に開発されてきた。本稿ではマツ材線虫病の診断法,言い換えればマツノザイセンチュウの検出同定法の歴史を紹介し,各法の長所・短所を概説するとともに,明確な外部病徴を伴わないいわゆる潜在感染木への適用可能性について実際の調査事例を交えながら検証する。

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© 2019 一般社団法人 日本森林学会
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