日本森林学会誌
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論文
原発事故が福島県の木材需給に与えた影響と林業・木材産業の現状
木村 憲一郎
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2019 年 101 巻 1 号 p. 7-13

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抄録

本稿の課題は,原発事故が福島県の木材需給に与えた影響と林業・木材産業の現状を明らかにすることである。結果,福島県では一部の地域を除き津波と地震による施設被害への対応は当面の完了をみたが,原発事故への対応は今なお続いている。震災以降,県全体の木材需要量は大きく増加したが素材生産量の伸びは小さく,移入材の増大によって他県産材の割合が増加した。木材価格は全国動向とやや異なり,製材品価格の伸びは小さく,素材価格,山元立木価格,林業産出額はいずれも震災前から低下した。県内地域間の比較分析では第1原発が立地した相双地域では木材需給が縮小し,それ以外の地域でも需給バランスに変化がみられた。原発事故に伴う営林活動の制限,木材価格の下落が素材生産活動を停滞させ,それらが県内の木材生産・流通の構図を変容させた。川中・川下側の復興が進む一方,川上側の経営環境は一段と悪化していることが福島の現状である。林業再建に向けては川上対策および相双地域の実情に即した対策の強化が必要である。

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© 2019 一般社団法人 日本森林学会
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