コンテナ苗の出荷作業を効率よく行うには,根鉢が適度に形成された苗木を選ぶことが有効である。本研究では,根鉢の物理的性質を定量的に評価する指標とその測定手法を考案し,各指標に対する育成孔の形状の影響や,各指標と苗木の地上部の形態的特徴との関係を明らかにすることを目的とした。リブ型とスリット型の150 ccコンテナでスギ苗木を育成し,2成長期目の初め(6月)と終わり(11月)にそれぞれ測定に用いた。根鉢の物理的性質として,根鉢の硬さ(山中式土壌硬度計による指標硬度),根鉢の崩れやすさ(落下の衝撃による脱落土壌量),根鉢の抜き取りにくさ(育成孔からの引き抜き力)を評価した。また,苗高,地際直径,根のバイオマスを測定した。その結果,根のバイオマスの増加とともに脱落土壌量は小さくなったが,指標硬度と引き抜き力は大きくなった。各指標は測定原理が簡明で結果を理解しやすく,根系の発達状況をよく反映していると考えられた。各指標を用いた評価により,根のバイオマスが等しければリブ型と比べてスリット型では根鉢が崩れやすく抜き取りやすいこと,根鉢の物理的性質は苗高より地際直径と強い関係があることが示唆された。