日本森林学会誌
Online ISSN : 1882-398X
Print ISSN : 1349-8509
ISSN-L : 1349-8509
論文
雄性不稔スギ「爽春」の雄性不稔原因遺伝子を持つ個体を検出する簡易DNAマーカーの開発
坪村 美代子郷田 乃真人平尾 知士三嶋 賢太郎小長谷 賢一田村 美帆高橋 誠渡辺 敦史
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 101 巻 4 号 p. 155-162

詳細
抄録

本研究では,雄性不稔スギ「爽春」の雄性不稔形質の原因遺伝子座(ms-1)と強く連鎖する遺伝子座における不稔型および野生型個体の遺伝子型を容易に検出できる簡易DNAマーカーを開発した。既報のSNP情報を基に,アレル特異的プライマー(Allele Specific Primer: ASP)PCR法,およびCAPS法によるDNAマーカーを開発した。まずms-1に座乗するEST(reCj19250)について爽春,野生型精英樹クローン碓氷2号のcDNAおよびゲノムDNA配列を決定し,不稔型および野生型のSNPを検出するためのプライマーを設計した。ASP-PCRマーカーにおいて,不稔型のホモ接合体では157 bp,野生型のホモ接合体では345 bpのバンドが検出され,ヘテロ接合体では両バンドが検出された。CAPSマーカーにおいて,不稔個体では制限酵素で切断された101 bp,野生型個体では125 bpのバンドが検出され,ヘテロ接合体では両方のバンドが検出された。これらのマーカーは雄性不稔スギの苗木生産現場における不稔個体の検出や,今後の林木育種のためのヘテロ型精英樹等の探索に利用できると考えられた。

著者関連情報
© 2019 一般社団法人 日本森林学会
前の記事 次の記事
feedback
Top