日本森林学会誌
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短報
キュウシュウジカによるスギ幼齢木の折損被害の特徴
野宮 治人 山川 博美重永 英年伊藤 哲平田 令子引地 修一
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2020 年 102 巻 3 号 p. 202-206

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抄録

平均苗高160 cmのスギ大苗を植えた試験地で植栽後4年間に発生した,キュウシュウジカによる主軸および側枝に対する折損被害の特徴を明らかにした。主軸の折損は1~2年目に,側枝の折損は4年目に集中して発生した。調査期間中に折損が原因の枯損は確認されなかったが,主軸を折損した個体では樹高成長は遅れた。折損部の高さは120 cm前後に集中し,折損部の直径は6.5~15.8 mm(中央値12.2 mm),折られた主軸の長さは17~85 cm(中央値53 cm)であった。折損部の高さに対して斜面傾斜の影響は小さかった。以上の結果から,主軸や側枝の直径が16 mmを超えると折損されにくいと推察される。また,防鹿柵を設置してもシカが侵入する危険はあるので,スギが折損被害を受けないサイズに成長するまでは注意が必要である。

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© 2020 一般社団法人 日本森林学会
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