日本森林学会誌
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カツラとヒロハカツラの温度条件に対する発芽特性
久保 満佐子 鹿島 拓也丹生 健太郎
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2020 年 102 巻 6 号 p. 368-371

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抄録

山地帯に生育するカツラと亜高山帯に生育するヒロハカツラが温度に対する発芽力の違いを持っている可能性を明らかにすることを目的として,10 ℃と15 ℃,20 ℃,25 ℃,30 ℃の恒温条件で45日間,発芽実験を行った。その結果,カツラの発芽率は10 ℃の12.7%から20 ℃の31.7%まであり,ヒロハカツラは15 ℃の3.7%から25 ℃の22.7%まであった。カツラの発芽数は20 ℃と25 ℃,30 ℃で10 ℃より有意に多く,ヒロハカツラの発芽数は20 ℃と25 ℃で10 ℃と15 ℃より有意に多かった。いずれの温度でもカツラの発芽数がヒロハカツラより多く,ヒロハカツラの発芽率が高かった20 ℃と25 ℃以外ではカツラの方が短い日数で発芽した。このように,カツラは広い温度で発芽力を有すること,また,ヒロハカツラの発芽力に低温に対する耐性は認められず,カツラより発芽率が低く,発芽に日数を要することが明らかになった。

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© 2020 一般社団法人 日本森林学会
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