本研究は,本格的な生産が開始して約10年が経過した現在におけるコンテナ苗の生産様式の全容を調査し,現行の標準的な栽培方法と生産者が抱える課題を明らかにすることを目的とし,全国のコンテナ苗生産者を対象にスギ,ヒノキ,およびカラマツのコンテナ苗の育苗に関するアンケート調査を行った。その結果,生産者が実際に行っている育苗方法は関係機関が発行する育苗マニュアルと概ね一致するものであった。コンテナ苗の生産規模と生産様式の関係性の解析から,コンテナ苗の量産化には,生産の効率化・労務負担軽減のための生産基盤施設の整備と,裸苗生産に基づく育苗技術や生産経験が相対的に豊富であることが寄与していると考えられた。コンテナ苗生産に対する問題点として,出荷規格外(小/成長ムラ/直径不足等)や根鉢形成不良による歩留まり(得苗率)の悪さ,コンテナ苗の需要拡大等が挙げられ,得苗率を高める栽培技術やコンテナ苗の安定した需給体制の構築が求められていることが明らかとなった。