日本森林学会誌
Online ISSN : 1882-398X
Print ISSN : 1349-8509
ISSN-L : 1349-8509
短報
オオシラビソ種子の有効な貯蔵方法
千葉 翔
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2021 年 103 巻 6 号 p. 391-394

詳細
抄録

オオシラビソ種子の発芽に対する乾燥の影響を調べ,4℃および-20℃で貯蔵した種子の発芽率の推移を観察した。種子の含水率を4段階(無処理,9.9%;弱乾燥,7.1%;中乾燥,6.3%;強乾燥,5.1%)に調整して発芽実験を行ったところ,乾燥強度に応じて発芽率が低下する傾向はなく,どの処理でも7割以上の種子が発芽した。4℃で冷蔵貯蔵した種子の発芽率は,処理の違いに関わらず3年後に10%未満となった。一方,-20℃で冷凍した場合は貯蔵から3年が経過しても48.3~77.4%の種子が発芽した。以上の結果から,同種の種子は含水率を調節しての冷凍貯蔵が可能であり,2~3年とされる結実周期のカバーには氷点下での保存が有効と考えられる。

著者関連情報
© 2021 一般社団法人 日本森林学会

この著作はクリエイティブ・コモンズのライセンスCC BY-NC-ND(引用を表示し,改変せず,非営利目的に限定)の条件の元で再配布・二次利用が可能なオープンアクセスです。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top