2021 年 103 巻 6 号 p. 443-448
樹種別の造材歩留まりを推定し,木質資源の利用可能量に与える影響を検討した。カラマツ・ヒノキ・スギ・アカマツの樹種別造材歩留まりを推定するため,長野県内で行われた搬出作業の結果から伐採量と販売量を把握し,造材歩留まり推定した。その結果,主伐ではすべての樹種において,造材歩留まりが従来値よりも低くなり,間伐では,アカマツ以外の樹種で従来よりも高い値となった。また,集材方法別では,車両系集材の方が架線系よりも高い値となった。この結果を用いて,樹種別に造材歩留まり考慮した場合と,従来通り一定値とした場合とでそれぞれ木質資源利用可能量推定を行った。その結果,従来方法の推定よりも,カラマツ,ヒノキ,スギでは利用可能量が増加し,アカマツでは利用可能量が減少することが明らかになり,造材歩留まりの正確な推定が重要であることが示された。