日本森林学会誌
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短報
南九州地方における無断伐採の発生状況および発生過程の現状把握
御田 成顕 都築 伸行
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2022 年 104 巻 2 号 p. 92-98

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抄録

南九州地方における無断伐採(盗伐と誤伐)の発生状況を明らかにするため,無断伐採被害の報告のある自治体に居住する森林所有者(502名)を対象に,2020年にアンケート調査を実施し,161名(32%)の有効回答を得た。所有者の7%が無断伐採の被害経験があると回答し,12%が被害の有無を把握していなかった。所有者を被害あり,被害なし,被害の有無不明に分類し比較した結果,被害ありと被害なしの所有者の所有林に対する認知度は同程度であったが,登記がなされていない森林が被害を受けやすい可能性が示唆された。被害の有無不明の所有者は所有林の認知度が低かった。無断伐採被害者への聞き取り調査から,無届伐採,隣接地からの侵入および伐採届の偽造といった伐採届の不正使用が認められたことから,伐採届提出後の現地確認が必要であると考えられた。所有者の認知度が低い森林において,さらなる無断伐採の発生が懸念される。

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© 2022 一般社団法人 日本森林学会

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