日本森林学会誌
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論文
日中のアンケート調査からみた森林意識と森林体験の関係
李 婉 伊藤 勝久
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ジャーナル オープンアクセス

2022 年 104 巻 2 号 p. 82-91

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抄録

本研究では,人々の森林意識と森林体験の特徴およびその関係を明らかにするため,日中における森林意識と森林体験についてアンケート調査を行った。分析の結果,森林意識と森林体験については日本と中国では明らかな差がみられた。日本においては森林意識と森林体験の年齢層別の違いがみられた。一方,中国では森林意識と森林体験は世代間の差がみられなかった。中国では義務造林という同一の「植樹体験」および学習による「概念的な体験」がすべての世代の共通の森林意識に影響している。日中の森林と人々の関わりの変遷を考慮すると,両国では各年齢層ともに小さい頃の森林体験が森林意識に影響していることが分かった。また,日中とも森林意識と森林体験について,地域別では差がみられず,各地域の森林資源状況に合わせたきめ細かな森林環境教育や森林体験プログラムが必要と思われる。

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© 2022 一般社団法人 日本森林学会

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