2023 年 105 巻 4 号 p. 110-117
北海道美唄市内のトドマツ人工林内に作設された森林作業道において,車両走行による土壌の締固めの経年変化を評価するために,作設後1年経過した作業道に作設区間を,林地に対照区間を設けた。各区間の路面(林地)において,土壌貫入抵抗(Nc値)を4年間,乾燥密度と間隙率を3年間にわたり測定した。Nc値から表層土壌の締固めを評価する土壌締固指数(SCI)を調査年ごとに算出した。作設区間におけるNc値は,対照区間より中央値が高い値を示し,表層から0.1 mまでの値が年経過に伴い減少した。深さ0.3 mまでを対象に計算したSCIでは,作設後1年から3年目までは減少したが,4年経過時点では3年経過時点と変わらない値であった。作設後2年目から4年目にかけて作設区間の乾燥密度は対照区間の値に比べて高く,間隙率は低い値であった。作設区間の乾燥密度と間隙率は,年経過に対してほとんど値が変わらなかった。土壌締固めの年変化は,測定する土壌物理性項目によって異なる傾向を示した。これらのことから,森林作業道路面の強度は3年目までに締固めの程度は減少したが,4年目では回復が収まる傾向にあった。