2023 年 105 巻 4 号 p. 123-128
高知県ではウバメガシが土佐備長炭の主原料として活発に利用されているが,その持続可能な利用量を推計するには,立木幹材積を把握する必要がある。製炭の可否や炭の規格には幹の直径が強く関係するため,利用可能直径別に幹材積を簡易に推計できるモデルを作成すると,実用上の都合が良いと考えられる。そこで本研究では,土佐備長炭の主要生産地である高知県室戸地域にてウバメガシ生立木の伐倒調査を行い,利用可能直径別の立木幹材積式を作成した。各供試木の利用可能直径別幹材積はいずれも,D2Hで直線回帰された。さらに,それらの傾きを利用可能直径の一次式で,X切片をべき乗回帰で表す回帰モデルを当てはめたところ,平均二乗誤差の平方根は微増したが,AICは5以上減少した。この回帰モデルの推定値および実測材積は,立木幹材積表から求めた値や,和歌山県で報告されたウバメガシの幹材積より大きかった。