2024 年 106 巻 2 号 p. 31-36
植栽木を検出しその生育状態をモニタリングすることは,造林初期の施業管理において重要な課題である。高解像度なUAV空撮画像の活用は,この作業にかかる時間と労力を大きく軽減することが期待されている。しかし,目視による植栽木の判読は高コストであり,継続的に活用するためにはその自動化技術の開発が求められる。本稿では,深層学習を利用した植栽木の自動検出技術を開発するとともに,1年間を通してUAV空撮を行い撮影時期が与える精度への影響について検討した。深層学習による検出は最高で目視判読の90%程度を再現可能であり,目視判読の代替として有望な結果が得られた。ただし,雑草木による影響を受け,雑草木が成長する夏~秋期においては植栽木検出数の減少や誤検出数の増加が確認された。深層学習による自動検出を安定的かつ正確に活用するためには雑草木の影響が少ない冬~春期に撮影を行う必要があると考えられた。