日本森林学会誌
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106 巻, 2 号
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論文
  • ―「森林サービス産業」モデル地域・富士宮市猪之頭区調査結果(2021年度)より―
    高山 範理, 木俣 知大, 落合 博子, 木村 理砂, 酒井 健一, 天野 亮
    2024 年 106 巻 2 号 p. 13-24
    発行日: 2024/02/01
    公開日: 2024/04/03
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究では,2021 年 12 月 4 日・5 日に静岡県富士宮市猪之頭区で開催された森林浴ヘルスツアーの参加者を対象として,1泊2日の滞在による心身の回復の程度や睡眠,幸福感,労働意欲等の改善の程度とその後の行動変容について調査した。参加者は 12 名,それぞれ2日間を通じて E-Bike,アロマウォーター作成,富士山ご来光体験,里山テントサウナ,源流ウォークなどのアクティビティを体験した。初日夜には医師によるヘルスセミナーの受講により,オプティマムヘルスの考え方,行動変容に繋げていくための方法論等を学習した。2日目午後には両日のふりかえりと今後の行動変容に向けた計画づくり等を行った。一方,滞在前後・期間中の参加者の心身を測定するため,生理指標(心拍数/自律神経系活動/睡眠状態)はスマートウォッチを,心理指標(回復感/気分状態/不眠感/人生の満足感/職業コミットメント)はスマートフォンを用いた調査を行った。分析の結果,滞在前と比較して滞在期間中から帰宅後に一部の指標において心身の改善が確認され,長いものでは2カ月後においても効果が持続している可能性が示唆された。持続の理由として,ヘルスセミナーや写真,自作のお土産などが動機付けとなった可能性が考えられた。

  • 泊 みゆき, 幡 建樹, 井上 雅文
    2024 年 106 巻 2 号 p. 25-30
    発行日: 2024/02/01
    公開日: 2024/04/03
    ジャーナル オープンアクセス

    2012年に再生可能エネルギー固定価格買取制度が開始され,木質バイオマス燃料として利用される林地残材等の木質バイオマス(以下,未利用材)は2020年に882万m3にまで増加した。しかし,20年間の適用期間の終了後は未利用材を主要な燃料とするバイオマス発電は事業継続が困難となるため,未利用材の需要が減少することが予想される。そこで,本研究では未利用材の新たな活用方法の一つとして,一般廃棄物発電における未利用材の混焼の可能性について,法制度,技術,事業性の観点から検討するとともに,混焼の潜在的可能性とそれによる地域経済および気候変動対策としての効果を測定した。法制度上は,助燃剤として使用する場合,助燃剤を含む処理量の30%までの混焼が認められており,技術的にも,30%程度の混焼は可能であることが確認された。また,事業性の面では,未利用材の調達価格が7円/生 kgであれば事業性を確保しつつ全国で213万m3を混焼することが可能であり,それにより268億円/年の地域経済効果と,石炭火力発電を代替した場合には72万t-CO2/年の気候変動対策効果が期待できる。

短報
  • ―撮影時期ごとの検出精度の検討―
    大槻 峻介, 山本 一清
    2024 年 106 巻 2 号 p. 31-36
    発行日: 2024/02/01
    公開日: 2024/04/03
    ジャーナル オープンアクセス

    植栽木を検出しその生育状態をモニタリングすることは,造林初期の施業管理において重要な課題である。高解像度なUAV空撮画像の活用は,この作業にかかる時間と労力を大きく軽減することが期待されている。しかし,目視による植栽木の判読は高コストであり,継続的に活用するためにはその自動化技術の開発が求められる。本稿では,深層学習を利用した植栽木の自動検出技術を開発するとともに,1年間を通してUAV空撮を行い撮影時期が与える精度への影響について検討した。深層学習による検出は最高で目視判読の90%程度を再現可能であり,目視判読の代替として有望な結果が得られた。ただし,雑草木による影響を受け,雑草木が成長する夏~秋期においては植栽木検出数の減少や誤検出数の増加が確認された。深層学習による自動検出を安定的かつ正確に活用するためには雑草木の影響が少ない冬~春期に撮影を行う必要があると考えられた。

その他 シンポジウム記録
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