抄録
DNA解析, 組織培養, 遺伝子組換えといったバイオテクノロジーを利用した林木育種研究のわが国の現状を, 海外での重要な研究も含めてとりまとめた。DNA解析では, 用途に合わせて適切な種類のDNAマーカーを選択する必要があることを述べ, DNAマーカーによる選抜およびQTL解析では, 活用方法と研究の現状について検討した。組織培養については, これまで開発された培養法の特性とこれからの発展が期待される不定胚培養研究の経過についてまとめた。遺伝子組換えについては, これまでの開発の経過と, 主要樹種であるスギとヒノキで遺伝子導入が可能となったことを紹介した。最後に, バイオテクノロジーを利用した林木育種の将来について考察した。