日本森林学会誌
Online ISSN : 1882-398X
Print ISSN : 1349-8509
ISSN-L : 1349-8509
短報
ミズナラ堅果における散布前種子食昆虫の脱出孔や発根が散布後種子食昆虫の侵入に及ぼす影響
木佐貫 博光山科 志帆中井 亜理沙万木 豊
著者情報
ジャーナル フリー

2011 年 93 巻 1 号 p. 29-32

詳細
抄録
ミズナラ堅果における散布前種子食昆虫の脱出孔と発根が散布後種子食昆虫の堅果侵入に及ぼす影響を検討した。孔のタイプ (脱出孔, 人工孔, 孔なし) と発根の状態が異なる堅果を, 2009年5月下旬にモミ・ツガ天然生林のミズナラ樹冠下に播き, 1カ月後に散布後種子食昆虫による堅果への侵入の有無を確認した。キクイムシ類は孔や発根の有無のそれぞれに関係なく堅果に侵入したが, 散布前種子食昆虫の脱出孔があると発根堅果に偏って侵入していた。ガ類の侵入は孔の有無に関係なく発根堅果に偏り, 未発根だと人工孔有堅果に偏った。散布前種子食昆虫の脱出孔は, それだけで散布後種子食昆虫の堅果侵入を促進や抑制することはないが, 堅果の発根はガ類の堅果侵入を促進すると推察される。
著者関連情報
© 2011 一般社団法人 日本森林学会
前の記事 次の記事
feedback
Top