日本森林学会誌
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論文
伐採収益と植栽経費の観点からみた低密度植栽の有効性
太田 徹志高比良 聡中間 康介吉田 茂二郎溝上 展也
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2013 年 95 巻 2 号 p. 126-133

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抄録
低密度植栽による植栽経費の削減効果と主伐時の収入の減少に着目し, 植栽から主伐までの収支から低密度植栽の有効性を検討することを目的とした。MSPATHアルゴリズムを用いた間伐戦略最適化モデルから, 植栽密度ごとに林業経営体の収益の現在価値を最大化する間伐計画と主伐期 (以下, 最適経営戦略) を求めた。最適経営戦略時の正味現在価値 (NPV) を植栽密度間で比較することで, 低密度植栽の有効性について考察した。同時に, 補助金の存在が最適経営戦略に与える影響も検証した。植栽本数1,000本/haから500本ごとに3,000本/haまで検討した結果, 補助金の有無にかかわらず, 植栽本数の減少に伴いNPVは上昇した。このことから, 本研究の仮定した条件下において, 低密度植栽は現在の植栽密度に比べて収益を増加させる可能性があると結論づけた。
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© 2013 一般社団法人 日本森林学会
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