日本森林学会誌
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論文
丸太の大量集積によるカシノナガキクイムシの誘引効果
斉藤 正一箕口 秀夫加賀谷 悦子
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2015 年 97 巻 2 号 p. 100-106

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抄録
ナラ枯れ被害を軽減するためには, 媒介昆虫のカシノナガキクイムシ (カシナガ) の分散を抑制し, 密度を低下させることが有効である。カシナガはナラ類の生立木に穿入するので, ナラ類の生立木から採取した丸太を, 2010~2013年にかけて26カ所, 延べ47調査地において集積し, カシナガを誘引する実証試験を行った。丸太は, 被害地周辺の林道の待避所や土場跡, 林道と隣接するスギ林内に集積した。大量に集積した丸太 (大量集積型おとり丸太) は, 丸太が長いために乾燥しにくく, カシナガの繫殖に好適な部位が多くなり, カシナガを誘引するカイロモンも木口から大量に発生する。これらの丸太に, さらにカシナガの集合フェロモン剤を装着したところ, 10,000個体/m3を超える多数のカシナガを誘引できた。この方法により, カシナガの密度が高い, 激害から中害の林分においても, 多数の個体を誘引することができた。カシナガが穿入した丸太は, 新成虫が羽化する前に粉砕してチップ化すれば内部のカシナガを駆除することができるだけでなく, それらはそのまま, 燃料用や製紙用チップとして利用できる。さらに, 丸太採取のために伐採した林分は更新するため, 今回用いた方法は, 駆除・利用・更新を三位一体で進める実用化技術として期待できる。
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© 2015 一般社団法人 日本森林学会
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