日本森林学会誌
Online ISSN : 1882-398X
Print ISSN : 1349-8509
ISSN-L : 1349-8509
論文
スギポット大苗植栽後1年間の主軸の傾きと活着に対する支柱の効果
野宮 治人山川 博美重永 英年平田 令子伊藤 哲園田 清隆
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 98 巻 1 号 p. 20-25

詳細
抄録
160cmを超えるスギポット大苗を無支柱と支柱あり(1本支柱・3本支柱)で植栽し,1年間の主軸の傾きの推移と活着率を比較した。無支柱の場合,主軸の傾きは植栽から2カ月後に最大となり,樹高は主軸長よりも59cm短くなったが,1年後には70%の個体で30°以内に回復した。1本支柱と3本支柱の場合の主軸の傾きはわずかで,それぞれ83%と95%の個体が1年間を通して30°以内に維持された。無支柱の場合,形状比が大きくなると主軸の傾きが大きくなる傾向があり,形状比120を超えると半数以上の個体が一時的に60°より大きく傾いた。大きく傾いた個体の一部は周辺の雑草が絡まって起き上がれずに枯死したため,無支柱の場合の活着率は83%であったが,支柱ありの場合の活着率は93%以上だった。以上の結果から,支柱は大苗の傾きを抑制し活着率を向上させるために有効であった。一方で,無支柱で大苗が傾いても潜在的には傾きが回復する可能性がある。形状比の小さな大苗を使って主軸の傾きを抑制できれば,支柱は必ずしも必要でないといえる。
著者関連情報
© 2016 一般社団法人 日本森林学会
前の記事 次の記事
feedback
Top