抄録
緒言:本論文では五代武田長兵衛が尚志社,杏雨書屋を創設して運営した経緯を分析し,企業発展における公益事業の有用性を明らかにする.
方法:主に社史,追想録,業界史,衛生局年報を調査し,それらの結果を総合して企業家活動を考察した.
結果:五代武田長兵衛は医薬品製造事業を発展させ,組織を近代化して自企業が製薬企業へと成長する礎を築いた.また「薬屋」が社会から低く評価されていると認識していたこと,および自企業の技術力を懸念し,新たな種類の人材を求めていたことを明らかにした.
考察・結論:2 つの公益事業は,企業のイメージを向上させ,優秀な人材が就職するに相応しい組織であるとアピールするための投資であったと結論付けられた.