抄録
目的および方法:東洋医道会は昭和3年に結成された漢方団体であるが,これまで漢方史のなかでその存在や動向が積極的に語られてきたとは言い難い.そこで会誌である『皇漢医界』を読み解き,東洋医道会の目的,主張,結成時の社会的・思想的背景について検討した.
結果および結論:東洋医道会による漢方復興運動は従来の運動とは異なり,漢方が漢方医以外の手によって支持されたことが明らかになった.その背景にはアジア主義思想の興隆の影響や社会的な「病者」の存在が示唆される.実際に会の活動を担ったのは漢方医たちであり,専門誌の発行,積極的な陳情運動などの活動は漢方の復興という観点で大きな前進だった.特に湯本求真,奥田謙蔵らによる漢方の実践は国民の健康に直接的に利益をもたらした活動であり,戦前の漢方復興の黎明期において重要な取り組みである.