日本鳥学会誌
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総説
日本国内における鳥類モニタリングの現状と活用:特に渡り性水鳥に着目して
井上 遠神谷 要松本 文雄守屋 年史天野 達也牛山 克己柏木 実田尻 浩伸仲村 昇市川 智子酒井 郁
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電子付録

2025 年 74 巻 1 号 p. 27-43

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抄録

生物多様性の保全や再生を進めるためには,その現状を定量的に評価し,減少や劣化の要因を特定し,必要な対策を検討して実践する必要があり,そのためには長期的なモニタリングが不可欠である.日本国内でも,鳥類を含めた生物のモニタリングが古くから実施されており,世界的にみても日本における鳥類モニタリングの歴史は長い.しかしそれらのデータの分析はあまり進んでおらず,モニタリングデータやその解析結果が鳥類の保全管理や政策に十分に活かされているとは言い難い.本論文では,東アジア・オーストラリア地域フライウェイ渡り性水鳥重要生息地ネットワークに参加している湿地を対象としたアンケート調査やインターネットでの情報収集を通じて,日本国内で実施されているモニタリングの現状について整理した.モニタリングサイト1000や鳥類標識調査などの全国規模の調査に加えて,ガン類の分布調査などの地域スケールでのモニタリングが実施されていた.さらに,サイト独自の調査も多くの湿地で実施されており,30年以上継続して実施されているモニタリングもあった.また,モニタリングデータを用いたこれまでの分析事例から,1)個体数の変化,2)フェノロジーの変化,3)分布域の変化,4)鳥類群集の変化などが明らかになってきており,それぞれの研究事例について国内の事例を中心に整理した.さらに,今後必要とされる研究について,特に渡り性水鳥であるガンカモ類,ツル類,シギチドリ類の3種群に分けて整理した.

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