産業精神保健
Online ISSN : 2758-1101
Print ISSN : 1340-2862
特集 働く精神障害者への合理的配慮をめぐって
精神障害者支援における合理的配慮の意義
田村 綾子
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ジャーナル オープンアクセス

2023 年 31 巻 2 号 p. 74-78

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抄録

2018年の障害者雇用促進法の改正施行により,精神障害者が身体・知的障害者と同様に雇用率の算定基礎に位置づけられた.障害者権利条約の理念に基づき,雇用者には,障害を理由とする差別の禁止や合理的配慮の提供が求められており,精神障害者の合理的配慮の適切な提供のためには,雇用者及び職場の上司等が社会モデルに則り障害者の個性や能力を活かせる環境作りや調整を行う必要がある.また,精神障害者(メンタル不調者等を含む)への支援を適切に行うことは,精神障害者の就業を通じた自己実現に繋がる.その際,障害者が自身の精神疾患や障害の特性を理解して対応できるようになることと併せて,仕事に求めるものや職務内容及び力量を認識し,職場上司や支援関係者との対話に参加できることが重要である.これらを支援するために精神保健福祉士等の専門職を含む支援関係者には職場内外での連携が求められる.

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© 2023 一般社団法人 日本産業精神保健学会
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