薬学部の学生が医療従事者として世に認められるためには,学内の様々な評価基準,共用試験,22週間の実務実習を越え,ディプロマ・ポリシーに到達しなければならない.大学にとっては,実務実習に出すこと,卒業を認め国家試験受験資格を与えることは,社会に対して実習生・卒業生の質を保証する社会的責任である.一方,近年,高等教育においても発達障害等を抱える学生の支援として合理的配慮が求められている.合理的配慮と方略・評価の多様化はどこまで許されるのか,薬剤師としての資質の水準をどう保つのか.我々のシンポジウムではこの問題について議論するため,大学教員の立場から講義,実務実習及び就職支援の取り組みについて,薬剤師そして障害者の家族の立場からの合理的配慮について,カウンセリングやキャリア支援に関わる教員の立場から学生相談について講演をいただき,会場全体で討論を行った.本総説ではその内容と議論について報告する.