2019 年 3 巻 論文ID: 2019-011
教育とは,学修者の行動に価値ある変化をもたらすプロセスである.教育を通じて学修者には行動変容が生じ,より望ましい状態,より高いレベルに向上する.教育効果を教育による学修者の成長の証として捉えると,それをどう測定するかが重要となる.現状,アンケートの実施やパフォーマンス評価等の量的研究が多くみられる.しかしながら,教育を通じて学修者が何を感じ,何を思い考えたか,またその経験をどう意味づけ,それをどう次に活かそうと考えたか,といった視点で学修者の成長を捉えることも教育効果を明らかにするうえで大切である.本稿では,上で述べた視点から学修者の成長を捉えようとして取組んだ質的研究の概要を紹介し,「学修成果を明らかにするための手法としての質的研究」について考えていきたい.