2019 年 3 巻 論文ID: 2019-014
質的研究とは「社会現象の自然な状態をできるだけ壊さないようにして,その意味を理解しようとする探求の形態を包括する概念」に根ざした研究である.質的研究を理解することは難しいが,医療人教育に携わる教員が,自ら行った教育実践について省察し,その改善を図ることを目的とする質的研究に限定して,その意義と具体的な研究の進め方について述べる.教育を教育者の視点で理解し,説明できて,教育に関連する状況の予測,改善につなげるように構造(モデル)化し,モデルを得るまでのプロセスを明示する.教育で生じた状況に関するリサーチクエッションを明確にして,インタビューデータ,学生が記載したポートフォリオデータなどについて,グラウンデッド・セオリー・アプローチ(GTA),M-GTA,などの方法を用いてモデル化を図る.教育者がより良い教育を実践するという目的の下で,省察して実践知を得る際に,モデルを基に判断や行動をすることができる.