2024 年 8 巻 論文ID: 2024-013
日本では1997年10月より臓器移植法が施行されて以来,2021年12月までに約800例の脳死下臓器提供が行われている.しかし,欧米諸国に比べて本邦での脳死下臓器提供は少なく,その要因の1つとして,移植医療について学ぶ機会が少なく,現状が把握できないことが推察される.2018年5月1日から2019年2月28日までの期間に,福岡大学病院薬剤部の実務実習カリキュラムを行った福岡大学薬学部5年生(77名)を対象に,臓器移植をテーマとした半日研修の前後で,移植医療の知識や理解度について無記名の質問紙調査を実施した.結果より,講義を行うことで,移植医療に関する知識が向上し,移植医療への関心が高まったことが示唆された,このことから,講義を通じての啓発や情報発信は知識習得機会の提供になると共に,移植医療を普及させる一助になると考えられる.