超高齢社会を迎えた日本では,認知症患者の増加に伴い,認知症ケアにおける薬剤師の役割が重要視されている.しかし,薬学生が実務実習中に認知症ケアを学ぶ機会は限られている.そこで,福岡大学病院では,薬学生が認知症ケアにおける薬剤師の役割を深く理解することを目的として,2024年度より新たな実習プログラムを導入した.本研究では,実習前後の自己評価アンケートとレポート解析を通じて,教育的効果を検討した.その結果,薬学生の自己評価はすべての項目で有意に向上し,特にせん妄の薬物療法やリスク因子,認知症ケアチームにおける薬剤師や多職種の職能に関する理解が改善された.また,認知症ラウンドへの参加を通じて,多職種連携の重要性や薬剤師の具体的な職能を学ぶ機会が得られた.本プログラムは,薬学生の認知症ケアに関する実践的知識の深化に寄与するとともに,将来の薬剤師としての職能育成に有用な取り組みであると考えられる.