2024 年 13 巻 3 号 p. 186-195
目的:相談支援事業に携わる精神障害をもつピアサポーターが経験する困難とピアサポーターの活動を支える要因を明らかにすることである.
方法:ピアサポーター9名に半構造化面接を行い質的記述的に分析した.
結果:ピアサポーターが経験する困難には【支援者としての力不足を感じる】,【当事者である自分がピアサポーターとして活動する自信が持てない】等があり,【ピアサポーターの立ち位置が定まらない】ことに繋がっていた.活動を支える要因には【支援に力を発揮できるように自己管理する】,【ピアサポーターの存在意義が認められる環境で働く】等があり,【ピアサポーターの存在意義を自覚する】ことに繋がっていた.さらに,活動の中で【利用者との相互作用による癒しの経験を得る】ことであった.
考察:協働する専門職や職場が,ピアサポーターの専門性やそれを発揮できる職場環境を理解することが,立ち位置の定まらなさの改善に必要と考えられる.