2016 年 5 巻 1 号 p. 2-10
目的:公務員として働く父親の育児参加の実態とその関連要因を明らかにすることを目的とした.
方法:本研究は,未就学児を持つ正規職公務員として就労する父親を対象とした.無記名自記式質問紙を用い,父親の基本属性と生活時間,育児参加,職場の環境に対する認識を調査した.関連要因の分析は,t検定,一元配置分散分析,重回帰分析を用いた.
結果:質問紙は414名に配布し,346名から回収し,有効回答率は83.6%だった.父親の育児参加測定得点の平均値は,20.8±7.6点(40点満点)だった.父親の育児参加は配偶者の労働形態,未就学児の数,父親の労働時間と強く関連していた.父親の育児支援制度の利用意向の高さに反して,育児参加の頻度や配偶者出産休暇以外の制度の利用経験は低かった.
考察:父親の育児参加の促進のためには,短期間でも育児休業を取得すること,さらには物理的な育児参加の必然性が高い時期のみならず,試行的に父親が育児休業を取得することが重要である.育児支援制度の利用実績を積み重ねることが,父親の育児支援制度の利用に対する職場の理解を高め,父親の育児参加を促進すると考えられる.