日本植物病理学会報
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灰色かび病菌(Botrytis cinerea)の感染過程に形成される多細胞型付着器と菌核
阿久津 克己内田 誠入野 達之奥山 哲
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1987 年 53 巻 1 号 p. 45-52

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抄録
1×10-3Mイノシン溶液(2.5%グルコース含有)にけん濁した胞子を培養したスライドグラス上で,菌核形成が認められた。イノシン存在下では培養5日後,菌叢中心部に菌核形成が見られたが,グルコース単独下では培養7日以降に周縁部で僅かに菌核形成が観察された。光顕観察から,菌核の初期形成は多細胞型付着器形成と同様に菌糸先端細胞の叉状分枝によって起り,その後叉状分枝を繰り返すと共にメラニン様色素の沈着によって,菌核が形成されるようである。多細胞型付着器形成を促進する物質(環状AMP,アデノシン,アデニン)は,菌核形成も促進し,付着器形成同様にイノシンが最も顕著な効果を示した.次に菌核形成を,多細胞型付着器による感染成否との関係から調べた。イノシン存在下のキュウリ葉上で,本菌胞子は多細胞型付着器を形成して侵入し,進展性病斑を形成するが,イネ(非宿主植物)葉では感染阻止を示す壊死病班(非進展性病斑)とともに菌核の形成が認められた。光顕観察で多細胞型付着器からの菌核形成を示唆する菌糸体構造が観察され,更にこれらの構造下のイネ表皮細胞には壊死反応が認められた。
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