抄録
1973年から8年間にわたって,イネもみ枯細菌病の疑いがもたれる罹病穂を多数の地域から採集し,病原細菌83菌株を分離した。病原細菌は細菌学的性質の違いにより4つの群に類別され,第1群菌14菌株はPseudomonas glumae,第2群菌16菌株はP. syringae pv. aptataと同定した。第3群菌26菌株はP. fluorescensに近縁な一種と考えられた。また,第4群菌27菌株は微好気性である点で他のものと際立って異なり,同定を保留した。これら4群の細菌は,酸素との関係,栄養要求性,40C下での発育,緑色蛍光色素の産生,オキシダーゼ,アルギニンジヒドロラーゼの活性,硝酸塩の還元で容易に識別できた。また,P. glumaeの抗血清はP. glumaeとのみ反応し,他の3つの群の細菌とは反応しなかった。P. glumaeはイネの穂と苗に病原性を示し,他の3つの群の細菌は穂のみに病原性を示した。病名については,P. glumaeによる場合を従来どおりのもみ枯細菌病とし,他の3つの菌群による場合はもみ枯細菌病類似症として一括し,P. glumae以外の細菌が病原であることを表わすにとどめ,正式な病名の提案は保留した。