日本植物病理学会報
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いもち病菌の菌糸先端における付着器形成
八重樫 博志松田 泉佐藤 善司
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1987 年 53 巻 2 号 p. 203-209

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抄録
ジャガイモ煎汁寒天培地あるいは素寒天培地で培養したいもち病菌菌糸の先端がペトリ皿底部に達すると,そこに付着器様構造物(ALS)が形成された。ALSが培地中で発芽し,その先端にさらにALSが形成される例もまれに見られた。ALSは褐色ないしオリーブ色を呈し,中に顆粒状物が認められた。表面は滑らかな厚い細胞壁で囲まれている。形や大きさには変動があるが,球形,卵形ないし長円形のものが多く,直径は4-11μm(平均10.1μm)であった。ALSの形成はすべての供試菌株で確認された。ALSはガラス面上よりプラスチック面上で多く形成された。ALSはイネ葉表面に固着し,そこから侵入糸を出してイネ細胞に侵入した。菌糸寒天ブロックをイネ葉身に付着させる方法で接種すると,そこに罹病型病斑が形成された。また,菌糸細片の懸濁液をイネ葉鞘に注射接種した場合にも罹病型病斑が形成された。超薄切片の電子顕微鏡的観察から,ALSが粘質物で覆われていること,菌糸より細胞壁が厚く,濃く染色されることなどが明らかにされた。これらの形態的,機能的特徴から,菌糸先端に形成されるALSは,付着器であると結論された。これは,いもち病菌の菌糸先端に付着器が形成されることを確認した最初の報告である。
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