抄録
身体活動・運動は,健康の維持増進やメタボリックシンドロームの予防に重要であることはよく知られている.体力の指標として用いられている最大酸素摂取量と疾病リスクとの間には強い関連性が認められており,低体力者は生活習慣病のリスクが高く,逆にトレーニングによる体力の改善はリスクを下げる.これまで,生活習慣病に関連するガイドラインには,ニコニコペースの運動が推奨されている.特に運動プログラムにおいては運動強度の設定が重要であり,運動療法の実際では,対象者の運動習慣,運動の好き嫌い,健康状態,こころの状態,運動負荷試験の結果や目標などを総合的に判断して計画的に進めることが重要である.今後,生活習慣病の予防や改善に対するニコニコペース運動のエビデンスをわかりやすく伝え,気軽に実行し,そしてその効果を実感し,日常生活を"生き""活き"送ることができるよう,身体活動・運動を啓蒙しかつ実践を上手に支援する指導者の育成が望まれる.