心理学研究
Online ISSN : 1884-1082
Print ISSN : 0021-5236
ISSN-L : 0021-5236
意味の成立條件に就て
中村 秀
著者情報
ジャーナル フリー

1934 年 9 巻 4 号 p. 645-680

詳細
抄録
以上を要約すれば、實驗Iにて先づ無意味圖形の任意分類といふ課題解決を通じて、種々の意味發生を實驗者に於て企圖し、實驗IIにて制限分類の結果よりそれを確め、更に實驗III IVにて客觀的にその内外的條件の解明を試み、實驗Vにて該條件を他人に課しての分類により、その條件の吟味をなし、その妥當するのを知つた。但し實驗IIIでその條件の客觀的に解明されなかつたgroupは、その内省により他人に分類させても同様な意味を發生させる事は不可能であつた。かゝるMzの分類は特殊的と考へられ、こゝではそれ以上の考察に進まなかつた。
以上の實驗により「同一な刺戟にも種々の意味が成立し得るが、内外的條件を同一にすることにより、同一の意味が成立する」ことが示されたと思ふ。
又、「無意味圖形」が各被驗者により種々に分類され、種々の意味を荷ひ得ることは所謂「無意味圖形」の「無意味」たる所以であらう。
著者関連情報
© 公益社団法人 日本心理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top