抄録
前交通動脈瘤破裂患者は,記憶障害を呈することが多く,前脳基底部との関連性が議論されている.また,実際には複数部位の脳損傷を伴うことが多く,さまざまな症状を呈することにもなる.戦略獲得訓練や代償手段の導入が考慮されるが,使用すべき残存機能の部分も障害されていることが多いため,より丁寧な対応が求められる.転帰については,発症1年を過ぎても症状が残っていることが多く,情動面と社会面に課題を残す者が多い.このように発症後時間を経た後に顕在化する情動面や社会面の課題に対しても,リハビリテーションの必要性があることが指摘されている.