The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine
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特集『高次脳機能障害のリハビリテーション―回復の可能性―』
脳炎
─記憶障害の回復とリハビリテーション─
浦上 裕子
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2016 年 53 巻 4 号 p. 287-291

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抄録
 ヘルペス脳炎と抗NMDA(N-methyl-D-aspartate)受容体脳炎の記憶障害の特徴と回復,予後,リハビリテーションを検討する.ヘルペス脳炎では側頭葉内側部が損傷され,前向性健忘と逆行性健忘を生じ,50%以上の例では1年後も持続する.前向性健忘の著明な改善は認められず,代償手段の活用が必要となる.保たれている手続き記憶を活用した視知覚運動学習が生活全般に汎化され,生活障害の改善につながる可能性がある.抗NMDA受容体脳炎では急性期の免疫療法後の記憶障害全般の回復は良好な場合が多いが,免疫療法の開始が遅れた場合,健忘が残存することもある.遂行機能や展望記憶は改善する場合が多く,これらの機能を汎化して社会参加を促進することが必要である.
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© 2016 社団法人 日本リハビリテーション医学会
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