The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine
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特集『息切れのリハビリテーション』
心不全の息切れの機序とそれに対するリハビリテーション
牧田 茂
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2017 年 54 巻 12 号 p. 947-951

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抄録

心不全患者においては,労作時の過度な換気増大は,息切れとなって症状にあらわれる.これは,換気血流不均衡から生じる死腔の増大と慢性的な肺静脈圧の増加による肺血管障害,気管支の過反応による気道抵抗上昇から生じる.運動生理学的には分時換気量(VE)を増加させている要因は死腔換気量(VD)であり,心不全での呼吸パターンの変化と換気血流不均衡増加の主たる原因となる.運動中の肺毛細管圧の上昇や肺胞壁・間質の浮腫などは肺コンプライアンスの低下を招き,一回換気量増加を妨げる.そこで,VEを増加させるために呼吸数が増加する,いわゆる浅く速い呼吸となって,解剖学的死腔に起因するVDが増加する.運動中の心拍出量の増加が少ないことは,換気血流不均衡によるVDを増加させ,あわせて心不全での運動中のVDを増すこととなり,その結果二酸化炭素排泄量に対するVEが増加する.

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© 2017 公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
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