廃用症候群では,呼吸器系のみならず筋骨格系,精神系,循環器系など幅広い器官における変調をきたし,しばしば息切れ症状が発生する.息切れはさまざまな動作や活動に対する心理的,物理的なハードルとなり,患者のADL,QOLの低下因子となる.息切れのへの対処においては,その発生状況を詳細に把握したうえで,悪化の予防,教育,運動療法を行う.必要であれば補助具や環境整備も考慮する.整容動作など,一見負荷が少なそうにみえる動作でも,上肢の挙上位の保持が必要な動作では息切れをきたしやすいため注意が必要である.単一の介入のみで息切れ症状を克服することは困難であることが多く,総合的に介入を行っていく必要がある.