脳梗塞は年間約30万人が新規に発症する国民病である.残存する神経機能障害の回復はきわめて困難な疾患の1つで,本邦における要介護者の原因疾患第1位となっている.脳梗塞による社会的負担は甚大であり,新しい治療法として再生医療への期待が高まっている.われわれは骨髄間葉系幹細胞(mesenchymal stem cell:MSC)の移植が,脳梗塞を含む神経疾患に対して治療効果を発揮することを報告してきた.また,2018年12月には自己培養骨髄間葉系幹細胞製剤「ステミラック注®」が,脊髄損傷患者の後遺症に対する治療薬として世界で初めて承認され,現在治療が進められている.本稿では,MSCを中心とした脳梗塞における再生医療とリハビリテーションについて解説する.