わが国の脳卒中を含む脳血管疾患の治療や経過観察などで通院している患者数は130万人(2019年)と推計され,2025年には300万人に膨れ上がることが懸念されている1).特に増加傾向にある脳梗塞治療においては超急性期における血管内治療が発達しているが,神経組織は自己修復能に乏しく損傷後の神経回復はいまだ困難なことから再生医療への期待が高い.体性幹細胞である間葉系幹細胞を用いた再生医療の研究は,主に軟骨,脳梗塞,脊髄損傷などを対象に,すでに国内外で臨床研究や治験が行われている.われわれは,神経と起源を同じくする神経堤由来の間葉系幹細胞に着目し,頭蓋骨から間葉系幹細胞を樹立した.
同時に,移植効果の高い間葉系幹細胞の研究のために,米国航空宇宙局(National Aeronautics and Space Administration:NASA)との連携で生体工学の応用研究として微小重力環境での幹細胞培養技術の開発も行っている.
再生医療は,後遺症や障害を残さない根治療法をめざした新規治療法と考えられていたが,臨床試験や治験が進むに伴って,細胞治療後のリハビリテーション医療の重要性が浮き彫りになってきた.また,細胞治療の回復過程に応じたリハビリテーション医療とロボットの活用がきわめて重要である.そのために,ロボットも活用した効果のある上肢,手指,下肢のリハビリテーション治療効果のエビデンス構築も急務といえる.
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