抄録
慢性腎臓病患者は心血管病のリスクが高くなるといわれており,透析導入時の末梢動脈疾患合
併率は18~25%ともいわれている。透析患者の足病変は栄養との関連が深くカルシウム,リン
などの電解質の異常による石灰化が動脈硬化を助長する。また動脈硬化や血管石灰化,創傷治癒
に関連する栄養関連の因子として葉酸,ビタミンD やビタミンK,アルギニンなどが知られて
いる。また低栄養もリスクの一つといわれていることから,早期からチーム医療の一員として管
理栄養士が介入し,低栄養を発見することが重要である。栄養評価法は複数の方法が紹介されて
いるがそれぞれに一長一短があることから画一的なものはなく,その施設に応じ柔軟に使用すべ
きである。末梢動脈疾患患者の低栄養や代謝異常に対する介入が重症化予防や予後改善につなが
るよう,今後の研究成果に期待したい。