日本放射線技術学会雑誌
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CT-MRI画像レジストレーション用非剛体ファントム開発に向けた素材調査
佐藤 一樹 山城 晶弘小山 登美夫
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2022 年 78 巻 6 号 p. 615-624

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抄録

【目的】放射線治療領域での非剛体画像レジストレーション(deformable image registration: DIR)は,近年異なるモダリティ間で多用される.しかし,DIRにおける確立されたファントムは存在しない.CT-MRI間の精度管理を目的とした非剛体ファントムの開発のため,3Dプリンタ素材およびゲル材において適合性を調査した.【方法】3メーカの31種類の3Dプリンタ素材と,1種類のゲル材に対しCT値,T1値,T2値,プロトン密度の測定を行った.この中のCT-MRIに適合するゲル材を用いてファントムの試作を行い,CT-MRI画像に対してDIR後のダイス係数を算出した.【結果】3Dプリンタ用素材のCT値は−6.8から146.4 HUの範囲であった.MRIではT1値のほとんどが測定不能,T2値はすべて測定不能,PDは2.51%から4.9%の範囲であった.ゲル材はCT値が111.16 HU,T1値813.65 ms,T2値27.19 msという結果であった.試作ファントムは柔軟性を有し,このファントムを使用したCT-MRI画像間でDIRの有用性が示された.【結語】ゲル材はCT値,T1値,T2値が生体に近く,CT-MRI間のDIR検証ファントムとして発展する可能性がある.本研究で得られた知見や測定値は,今後DIR用の非剛体ファントムの発展に寄与することができる.

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© 2022 公益社団法人日本放射線技術学会
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