2025 年 81 巻 7 号 論文ID: 25-1533
【目的】当院の胸部および腰部の椎体に対する体幹部定位放射線療法(stereotactic body radiation therapy: SBRT)の照射中の固定システムの精度を評価し,安全なSBRTの実施が可能であることを証明する.【方法】脊椎SBRTで治療を受けた脊椎転移患者9例(照射回数の合計は45回)を対象に検討を行った.胸椎および腰椎の脊椎病変に対して体幹部シェルを用いた固定システムを固定具として使用した.患者セットアップでは,Exactrac(Brainlab, Munich, Germany)を用いたX線照合を行い,その後にcone beam computed tomography(CBCT)による確認を行い照射直前にターゲット位置が計画用CTに一致していることを確認した.CBCT照合を行った後に,照射開始となるが,治療直前,治療中,治療直後にそれぞれ追加のExactracを用いたX線撮影を実施し,照射中の経過時間における固定精度の評価を行った.【結果】固定シェルを用いた場合の,照射中の動きについて各方向の平均値± 1標準偏差(standard deviation: SD)は,それぞれ左右方向:0.01±0.21 mm,頭尾方向:−0.01±0.18 mm,前後方向:0.06±0.16 mm,pitch: 0.02±0.19°,roll: −0.02±0.29°,yaw: −0.03±0.23°となった.【結語】当院のExactracを用いたX線照合を使用したimage guided radiotherapyシステムは,照射中の位置精度の評価が可能であった.体幹部シェル固定システムは照射中の固定精度を1 mm以内で担保することが可能であった.また,Exactracを用いた照射中の位置確認は,非常に高い照射精度が要求される椎体のSBRTにおける照射中の位置精度の評価をすることが可能な非常に有用な照合システムである.