抄録
膵頭十二指腸切除術後の総肝動脈の破綻による出血に対して肝動脈結紮と門脈部分動脈化により救命できた症例を経験した. 症例は54歳, 男性で, 下部胆管癌の診断で亜全胃温存膵頭十二指腸切除を施行した. 術後36時間後よりドレーンより膵液の排出を認め, その2時間後腹腔内出血によるショック状態となり, 緊急開腹手術を施行した. 出血点は総肝動脈にあいた約8mmの孔, 血管壁は脆弱であった. 縫合修復は不可能で, 総肝動脈を結紮し止血した. 肝動脈血の欠如を補うため, 回結腸動静脈吻合を行った. 術後は黄疸・肝機能障害, 膵胃吻合部の縫合不全を認め, 集中治療を必要としたが, 徐々に軽快し, 第60病日に軽快退院した. 膵頭十二指腸切除術後の総肝動脈出血は致命的な合併症で, 再手術により救命できたことは外科治療上意義があると考え報告した.