2007 年 68 巻 3 号 p. 603-606
症例は58歳の男性で上腹部痛を主訴に当科を受診し, 腸閉塞の診断で入院した. 腹部の手術の既往はなかった. イレウス管造影検査と腹部造影CT検査の結果から小腸腫瘍による腸閉塞と診断し, 手術を施行した. 開腹所見ではTreitz靱帯から約50cmの部位の空腸が腫瘍を先進部として腸重積をしており, 重積を解除した後に空腸部分切除術を施行した.
腫瘍は大きさ35mmの粘膜下腫瘍で粘膜面は糜爛を形成しており, 漿膜面にも腫瘍が露出していた. 病理組織学的所見では細胞分裂像は認めなかった. 免疫染色ではc-kitが陽性で小腸gastrointestinal stromal tumor (GIST) と診断した. 現在術後再発を認めず1年間経過している.