日本臨床外科学会雑誌
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症例
破骨細胞様巨細胞の出現を伴う乳癌の9例
吉田 亮介木下 貴之北條 隆
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キーワード: 乳癌, 破骨細胞様巨細胞
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2008 年 69 巻 7 号 p. 1615-1619

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抄録

1999年から2007年の9年間における破骨細胞様巨細胞(OCGC)の出現を伴う乳癌(OCGC乳癌)の自験例につき臨床病理学的,免疫組織化学的特徴を検討した.OCGC乳癌は9症例であり,全乳癌における頻度は0.3%であった.臨床病期はStageI:4例,StageIIA:3例,StageIIB:2例であった.最大腫瘍径は1.5cm─6.0cm(平均3.1cm),リンパ節転移を4例(44%)に認めた.腫瘍組織型は全例浸潤性乳管癌,組織学的異型度は全例grade2であった.estrogen receptorは5例(56%),progesteron receptorは6例(67%)で陽性,HER2は7例で検討し,1例(14%)で陽性であった.予後は原病死1例を認めた以外は無再発生存中(平均観察期間4年10カ月)である.OCGC乳癌は臨床病期,組織学的異型度,リンパ節転移,ホルモン受容体発現状況等から悪性度は中等度,あるいは比較的良好の可能性があることが示唆された.

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© 2008 日本臨床外科学会
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