抄録
症例は70歳,男性.近医にて大腸癌検診目的に下部消化管内視鏡検査をうけ,肛門管に1cm大の隆起性病変を認めた.肉眼的に,当初良性の肛門ポリープと診断したが,生検にて,Group4の腺癌疑いと診断された.経肛門的に皮膚,直腸粘膜と合併切除したが,病理組織学検査で断端に癌浸潤陽性と診断された.その後の検査で,肛門管癌の表皮内Paget様進展と診断された.数回の切除,生検の経過中に,肛門中心湿疹様皮膚病変の急速な拡大を認めた.Mapping biopsyの結果,肛門周囲皮膚から歯状線を越えた直腸粘膜まで病変を認めたため,腹会陰式直腸切断術を施行した.急速な皮膚病変進行を伴う肛門管癌の経過を観察しえた報告は稀であり,早期肛門管癌の病態を知る上で貴重な症例と思われる.